ピクセルの風景と銘打った本展示は、ある風景を彩った名画や広告にピクセルを重ね再構成し、デジタルとフィジカルの領域を超えた可能性を探ります。
「Pixel Landscape(ピクセルの風景)」と銘打った作品群は、ある風景を彩ってきた名画のポスターや広告などのメディアにピクセル表現のレイヤーを重ねてプリントすることで、フィジカルの領域をデジタルなピクセル表現によって再構築しています。表現手法に取り入れた「ピクセルアート」は、1980年代に普及したコンピューターやゲームの機能的な制約のもと発展した低解像度の「ドット絵」表現であり、古くて新しい表現手法としてのグラフィック手法として注目されています。日常に存在する物質的なポスターをピクセル表現によって曖昧になった現れた風景を通じてデジタルとフィジカルの領域を超えた可能性を探っていきます。
本展示では、知財や著作物に対してクリエイターとしてどう向き合うかをテーマとしています。昨今では、インターネットが普及したことで、SNS上ではアマチュアのクリエイターを含む一般人や企業が毎日のように何らかの著作物をネット上に投稿し日常的なコミュニケーションを行っています。また、画像生成AIやNFTの登場によってこれまでの著作権法の考え方だけでは解釈が難しくなっている時代になってきています。
「Pixel Landscape」の作品群は、作家自身がこれまで蒐集した広告ポスターや名画のポスターにピクセル加工を施すことにより、もともとあった創造物をピクセル越しに見える風景としての新しい解釈を加えることで、著作物に対する数多ある向き合い方の可能性のひとつとして提案しています。