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04/d47 MUSEUM

栃木 伊藤丈浩の器スリップウェアのもののまわり

会 期 2025年9月19日(金) - 2025年10月 2日(木)
時 間 12:00~20:00
場 所 d47 MUSEUM(渋谷ヒカリエ8F)
事前申込 不要
●お問い合わせ:03-6427-2301(d47 MUSEUM)

一筆書きの緊張感と、手作業の温かさ

スリップウェアとは、泥状の化粧土(スリップ)で模様を描く陶器の装飾技法の一つです。古くから世界各地で用いられ、特に17世紀から19世紀のイギリスでつくられたスリップウェアが有名。日本では民藝運動の提唱者である柳宗悦や、バーナード・リーチ、濱田庄司らが、素朴で力強い美しさを見出し普及させました。これにより、スリップウェアの技法は日本で再評価され、現在では多くの陶芸家によって独自の進化を遂げています。

 

2011年発売のデザイン観光ガイド『d design travel』栃木号の取材時に出会った、伊藤丈浩さんのスリップウェアをご紹介します。伊藤さんは、2006年に栃木県益子町にて独立し、本格的にスリップウェアを開始。伝統的なスリップウェアの技法を継承しながらも、現代の食卓に溶け込むモダンなデザインを研究。緻密な幾何学模様や流れるような大胆なライン、布に泥描きした模様を土に転写する独自の技法「トランスウェア」まで、さまざまな表現で器づくりを続けています。特に、連続性のあるリボン模様は、テキスタイルのパターンのように華やかで、和洋を問わずどんな料理にも馴染み、食卓を豊かに彩ってくれます。

 

今回は、伊藤さんが実際に使っている器づくりの道具とともに、普段、店頭で取り扱いのないトランスウェアの器などもご紹介します。ぜひ、手に取って器の温かさを感じてみてください。

 

伊藤丈浩

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1977年千葉県生まれ。栃木県益子町の製陶所に務める。益 子町は濱田庄司の影響で海外の陶芸家も多く、日本とは違う感性の陶芸に興味を持ち、後に渡米。帰国後は、自転車にテントを積み日本各地の窯元を訪れる。2003年大阪日本民芸館で開催されたスリップウェア展と結婚を機に、2006年栃木県益子町にて独立し本格的にスリップウェアを開始。伝統的な技法を継承しながらも、現代の食卓に合うデザインを提案。

伊藤丈浩

 

『d design travel TOCHIGI』

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その土地の生態系を意識したい。

栃木県は、南東北だ。豊かな自然と東京へのアクセスのよさ、その両方を併せ持ちながら、独特のバランス感がある。海のない栃木は、山と川と土と、太陽と四季と農産物。都会的で奇抜なクリエーションはないけれど、何か腹の底からジーンとくる、根源的な創造力を持っている。

【d design travelシリーズとは】

2ヶ月間暮らすように現地を旅して、本当に感動したものだけを「ロングライフデザイン」の視点で、本音で紹介しています。

d design travel TOCHIGI