極並佑（1985年京都府生まれ）は2009年京都造形芸術大学の修士課程を卒業。2008年から「modern people」と題するシリーズを制作しています。画面に登場する人物は顔の部分が描かれていません。単純化された面と線に還元された人物たちは、顔という個性を喪失しているにも関わらず強い存在感が感じられます。様々な要素を削ぎ落としていた以前とは異なり、近作は微妙な色彩で描かれる背景や人物の体の動きなど、平面画面における奥行きと物語性が加わりました。

黒宮菜菜（1980年東京生まれ）は2012年京都市立芸術大学博士(後期)課程を満期退学。ドローイングを描くような感覚で、植物や顕微鏡を覗いた時に見られるような流動的で有機的なフォルムが淡い色彩で描かれています。大学院で絵を描くことを考え直した結果たどりついたという、ドリッピングや垂らし込み技法を用い、偶発的に画面に現われる模様も作品に取り込まれており、水中を漂う植物のようなイメージで幻想的な光景が作り出されています。

三好彩（1986年大阪生まれ）は2012年京都市立芸術大学美術学部を卒業。キャンバスに塗られる油絵具は、時に画面に分厚く盛り上がり、様々な筆遣いによって描かれています。モチーフは幼少の頃から自身が持つ、言葉にできない感覚やイメージです。不安や違和感といったネガティヴな感情が多く描かれているにも関わらず、恐怖を感じるような陰鬱としたものではなく、感情が開放されたかのようにそれらが溢れ出て、何ものにも縛られることのない色彩で描かれていて、無垢でエネルギッシュな印象を受けます。