旅の記憶を青で描く
どんなに楽しい旅でさえ、時とともに曖昧な記憶となる。他の記憶と混ざったり、時の順序がおぼろげになったり……。そんな旅の記憶を重ねるように綴ったアートイベントが2025年6月12日(木)〜22日(日)の間、CUBEにて開催されました。
スクラップブックから生まれた青の世界
青が印象的なこの絵を描くのは、せつはやとさん。武蔵野美術大学を卒業後、富士通にてデザイナーとしてキャリアをスタートした後、所属部署ごとスピンアウトする形で独立。
その後、ご自身のお父様の死を経験し、世界一周旅行に行くことを決意しました。
「父親が亡くなる前に最後に何がしたいかとの尋ねると『仕事』と言われたんです。それで自分だったら何と答えるだろうと考えて、漠然と海外に行きたいという思いがありました。会社を辞めれば365日が自由になるわけですから……」と、当時を振り返る。
せつさんの描く世界には、黒がない。どこまでも澄み渡るようなブルーの世界が広がり、そのせいか、どこか現実と夢の境にあるような景色に感じさせられます。
「間違えた記憶こそが、リアルな自分の思い出だと思っています。思い違いをしてしまっていることにも気づかず『あの時良かったよな』と思い出を重ねていくというか……そういうのが本当のリアルになると思っていて、旅先で心惹かれた思い出の一片をテーマに絵を描くようにしています」と話します。
これらの“青の世界”が生まれる全ての源は、旅を記録したスクラップブックです。
会場には、作品とともに、せつさんの1年にわたる世界旅行のはじまりの記録から、さまざまな旅の記憶が展示されていました。
旅の景色を描いたスケッチや、地図やチケット、パッケージに加え、旅の思い出話が、ブルーインクのボールペンで記されています。
「訪れた旅先によって印刷や紙、色が全然違うのも面白いですよ。世界的なブランドの現地版は必ず買います。特にリプトン、コルゲート、コカ・コーラ、マクドナルドなどは絶対に買います。メニューも違いますし、デザインも土地それぞれで特徴があるのも面白いです」とせつさん。
特に古いレシートなど、感熱紙に印字されたものは、月日が経つにつれ印字が消えていきます。そうした時間の経過とともに起きる変化もスクラップブックの楽しさの一つと話します。
これら、旅の途中に描かれたスケッチや写真を重ね合わせながら、アクリル絵の具を用いつつ油絵のような質感を出すための工夫や、油性色鉛筆なども併用し、作品が描かれていきます。そして、ファーストピクチャーとして購入しやすいお手頃な価格で販売しているのも、嬉しいところ。
また、せつさんは展示会を「人と人を繋ぐ場」と捉え、世界各地のロゼワインが飲めて買えるイベントを期間中に開催。
Information
せつはやと 作品展 From the Travel ! 2025
Supported by ロゼ活
会 期 2025年6月12日(木) - 2025年6月22日(日)
時 間 11:00 - 20:00※最終日は17:30まで
場 所 8/CUBE1,2,3
料 金 入場無料
主 催 せつはやと 公式ウェブサイト








