NIPPONの47人 2026 CULTURAL STAY47都道府県の文化拠点をつくる宿の主

EXHIBITION

宿を舞台に地域文化を育む47人の主たちの展覧会

d47 MUSEUM 第38回企画展のテーマは「宿」です。宿は今、「泊まる場所」から、文化的な体験・学び・交流が生まれる「活動の場」へと変化しています。地域を深く知る旅、長く滞在する旅、働きながら過ごす旅など、多様な旅のかたちが広がるなかで、旅人だけでなく地域の人々にとっても交流の拠点となり、カルチャースポットとしての役割を担う宿が生まれています。本展では、そうした場づくりに取り組む宿のオーナー、女将、支配人、名物スタッフなどの「主(あるじ)」を、47都道府県から一人ずつご紹介します。主たちのその土地への思いから生まれる個性豊かな宿泊体験や取り組み、地域の魅力を引き出す編集力。47通りの主の哲学と視点に触れる展覧会です。

 

選定基準

1. その土地らしい地域文化が、空間・食・プログラムなどで体感ができる宿泊施設であること。
2. オーナー、支配人などの肩書きにこだわらず、“主”として、その宿泊施設の運営に携わり、迎え入れている方であること。その方の気配を感じること。
3. 宿泊施設での体験が、デザイン意識を持って編集されていること。

 

出展者一覧

北海道 菊地辰徳(haku hostel) / 青森 長嶺李砂(TINY HOTEL COZY) / 岩手 今井航大朗(クイーンズメドウ・カントリーハウス〜いのちを還す森〜) / 宮城 千葉隆博(石巻ホームベース) / 秋田 丑田俊輔(森山ビレッジ) / 山形 須藤宏介(山形座 瀧波) / 福島 和田智行(小高パイオニアヴィレッジ) / 茨城 飯野勝智(HOTEL(TEN)) / 栃木 宮本吾一(Chus YADO) / 群馬 田中仁(白井屋ホテル) / 埼玉 加賀崎勝弘(THE PUBLIC) / 千葉 新井洸真(KURKKU FIELDS cocoon) / 東京 白岩万里(宿坊「泰全」) / 神奈川 來住友美(真鶴出版) / 新潟 土田貴好(泊まれる劇場 スロウプハウス) / 富山 山川智嗣(Bed and Craft) / 石川 小津誠一(風知空知) / 福井 時岡壮太(八百熊川) / 山梨 平山繁之(STAY366) / 長野 田澤麻里香(酒蔵ホテル® KURABITO STAY) / 岐阜 山本桂諒(煤と棲む 山本屋) / 静岡 二見一輝瑠(guest house MARUYA) / 愛知 南慎太郎(Masukichi -hostel, cafe, souvenir, guide-) / 三重 高杉亮(宿泊・喫茶・食事 奥松阪) / 滋賀 左嵜謙祐(湖里庵) / 京都 鍵賢吾(舟屋の宿 鍵屋) / 大阪 矢野浩一(SEKAI HOTEL 大阪布施) / 兵庫 藤原岳史(篠山城下町ホテル NIPPONIA) / 奈良 藤岡俊平(奈良町宿 紀寺の家) / 和歌山 撫養健太(MUYA HOTEL ) / 鳥取 蛇谷りえ(たみ) / 島根 松場登美(暮らす宿他郷阿部家) / 岡山 戸田誠(町家ステイ吹屋 千枚) / 広島 豊田雅子(尾道ゲストハウス みはらし亭) / 山口 黒木涼(SOIL Nagatoyumoto) / 徳島 大塚桃奈(HOTEL WHY) / 香川 三村拓洋(NOTEL) / 愛媛 グレブ・バルトロメウス(木屋旅館) / 高知 安達佑実子(お山の宿みちつじ) / 福岡 立花千月香(柳川藩主立花邸 御花) / 佐賀 小原嘉元(和多屋別荘) / 長崎 岸川信吾(カフェと宿 ROUTE) / 熊本 佐藤充(HIKE) / 大分 香内宏文(DONOSTIA) / 宮崎 揚松晴也(AOSHIMA PICNIC CLUB) / 鹿児島 西野友季子(ホテルニューニシノ) / 沖縄 西悠太(mui たびと風のうつわ

 
 
ごあいさつ
キュレーター・黒江美穂(D&DEPARTMENT ディレクター)
 

宿の主の在り方は、豊かさを問い直す哲学と視点

d47 MUSEUMでは2012年の開館以来、「旅」「工芸」「ファッション」「食文化」など、さまざまなテーマで47都道府県の個性を紹介してきました。本展覧会は「NIPPONの47人」シリーズの第6弾として、「宿」を拠点に文化的な活動に取り組む47人を紹介します。
ホテル・旅館市場は2025年度には売上高が過去最高を更新するとみられ、宿泊施設の需要が伸びる中、ただ「泊まる」ことが目的の宿ではなく、地域の「カルチャースポット」「公民館」のように、「体験・実感」「学習・教育」「交流・文化醸成」の拠点として役割を広げる宿に注目します。

1 地域価値の翻訳者であり創造者

これだけ「ローカル」が注目されるようになってもなお、「自分たちの地域には何もない」という言葉は消えないでしょう。主たちは、そんな “当たり前” になっている景色や文化を丁寧に見つめ、宿での「体験」へと導いています。長野県「酒蔵ホテル® KURABITO STAY」の田澤麻里香さんは、地元酒蔵での酒母(しゅぼ)や麹づくりなどの体験を職人と共にするプログラムを実施しています。仕込みというシビアな現場を共にできる関係性がなければ実現できない「本物」の体験です。福井県「八百熊川」の時岡壮太さんは、地元のお母さんたちが地元の食材に腕をふるい、宿の食卓に届けることで、熊川に受け継がれる家庭の味を伝え続けています。この宿では、海外の宿泊客にも日本語だけで楽しそうに説明するお母さんたちが大人気。広島県「尾道ゲストハウス みはらし亭」の豊田雅子さんは生粋の空き家ラヴァー。魅力的な空き家を見つけては、空き家の里親探しをしたりと、もはや宿の主という枠を飛び越えた活動をしながら、定期的に2時間のまち歩きツアーを実施しています。
酒蔵の作業も、お母さんの味も、空き家のある風景も、そこでは “当たり前” のことが、主たちの編集力によって“特別”になっていく、翻訳者であり創造者の視点から生まれる体験が、私たちが旅する理由をつくってくれます。
 

2 まるで地域全体の “主” のように

宿の主たちの言葉からは、常にその土地へのリスペクトが感じられます。神奈川県「真鶴出版」の來住(きし)友美さんは移住相談を受けることも多いと言います。「町と人を繋ぐことに不安になることはないですか」と問いかけると「この町の力を信じているんです」という真っすぐな言葉がありました。自分たちの好き嫌いや理想像ではなく、町の “バイオリズム” の中で、彼らもまた町の一部として活動していることが伝わってきます。
町を一つの宿と見立てる「まちやど」の主たちも本展では多くご紹介しています。その中で、静岡県「guest house MARUYA」の二見一輝瑠さんは、宿泊業以外の事業も共に元気になれば、生き生きと働く人が増え、そこで暮らす人の文化度も上がっていく、と考えています。あくまでも宿は「まちの入口」であり、その先にある循環に向かっていく、という考えは、多くの主たちに共通しています。
 

3 新しい価値観に気付かせてくれる案内人

目で見る、手で触れる、食を味わう、人と話すなど、旅先で生の体験に触れる時、思いもよらない発見が私たちの心を動かします。千葉県「KURKKU FIELDS cocoon」の新井洸真さんは、手軽さや効率の良さよりも、自分自身の手を動かし、土や生き物の手触りを感じながら過ごす時間を通して、新たな価値観のものさしを持って帰ってほしいと言います。徳島県「HOTEL WHY」の特徴である、チェックアウト時に自分の出したゴミを44の種類に分ける “ゼロ・ウェイスト” への取り組みを体験すれば、旅先から帰った後も、私たちの中には「ゴミ」に対する新しい意識が芽生えて暮らしていくことになるでしょう。
 

体験と感動から私たちは自分自身を見つめ直す

本展覧会で紹介する47人の「宿の主」たちのベースにあるのは地域への尊敬と、その地域価値を見出す編集力。その土地の「らしさ」が続いていくために必要な考えに満ちあふれています。また、彼らの宿での体験は、私たちにとっての ”豊かさ” を拡張し、今までにない価値観を生み出すだけでなく、自分自身にとって大切なことまでも問い直し、日常をささやかに、けれど確かに変えていきます。47人の主の在り方に触れ、新しい自分に出会う旅をぜひ見つけてください。


 

関連企画

館内には、主たちの取り組みや、その土地ならではの宿にまつわる品々をご紹介するショップが登場します。さらに、出展者らをゲストに迎え、宿づくりや地域との関わり、文化を育む場としての宿のあり方など、その哲学や視点を掘り下げるトークイベントも開催予定です。展覧会をより深く楽しめる関連企画を展開します。
最新情報はこちらのページやd47 MUSEUM SNSで順次お知らせいたします。→ instagram

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47都道府県をテーマとした日本初のデザイン物産美術館「d47 MUSEUM」

47museum

d47 MUSEUM(ディ ヨンナナ ミュージアム)は、日本初、47都道府県をテーマにした“日本のものづくりの今”を知るデザインミュージアムです。dは「design」のd。47は「47都道府県」の数。日本のものづくりの今を俯瞰して眺められる企画展示をメインに、様々な講演、実演販売、体験型ワークショップなどを開催し、今の日本を実感できる、日本初のデザイン物産美術館です。ショップと食堂も併設し、立体的に日本の個性をプレゼンテーションします。店舗情報 / Instagram / Facebook