瀬戸、丹波、越前、備前、常滑と共に日本六古窯と呼ばれ、焼き物の産地として長い歴史を持つ信楽。始まりとされる13世紀中頃は、釉薬を使わない無釉焼締の壺や甕、すり鉢など生活で使う道具をつくっていました。戦国時代には茶の湯で使う焼き物をつくり始め、18世紀中頃になると、釉薬を使用した器が、多くつくられ、無釉焼締の器は、少なくなっていきます。その後は、工場で使う部品や、建物に使うタイルや洗面器などの建材をつくり始め、今では生産額の半分が建材です。信楽焼は、その時代に必要なものを作りながら、発展していき、今でも産地として残っています。

小川顕三陶房は、この歴史ある滋賀県甲賀市信楽町にあります。1993年、小川顕三さんが55歳の時に息子の記一さんと設立した小川顕三陶房。父である菱三陶園三代目小川青峰さんの下で、信楽の伝統や技術を学びながら、懐石の食器を中心につくっていた顕三さん。独立後も使いやすく、料理を活かす器を記一さんと共につくっています。

古琵琶湖層から採れた信楽の土を中心に使う小川顕三陶房。つくりたいものに合わせ、成分の異なる土をブレンドし、粘土を作ります。写真左の信楽の白土は目が粗く、ザラザラとした自然な質感を生み出しています。写真右の赤味のある粘土は、白土に鉄分の多い土を混ぜています。鉄分が反応し、焼きあがると赤味が出ます。