多様性が自然な状態として受け入れられつつある現代においては、当然の帰結としてマイノリティたちが可視化されていきます。それに対してマジョリティ側が、恐怖や違和感、場合によっては反感で応える傾向も認められます。この状況への疑問、あるいは問いかけとして生まれたのが私達の空想の百貨店、「白昼夢百貨店」です。

私達人間は当たり前のように目の前にいる相手を他人だと認識できるのに、その他人と自分との共通しない部分や理解できない特徴について、未知のものに対する忌避感から反発心を抱いてしまうことが多々あります。

マジョリティ側がマイノリティ側の存在について否定的な態度をとってしまうのは“知らない”からゆえの恐怖、そして自分の人生に影響が起きてしまうかもしれないという空想からきているものかもしれません。

この百貨店には、いろんな疑問たちが偽物の商品となって陳列されています。それらを見たときに、私たちは何を考え、感じるでしょう？

そしてその商品たちは私たちに危害を及ぼしたり、明日を変えてしまう影響を持っているのでしょうか？

入場してから退場するまで、そしてこの展示会が終わったあともわたしたちの人生は続きます。何事もなく、何も変わらず。

私たちの百貨店が伝えたいのは、“違和感”や“未知”は恐れなくても良いということ、あなたの人生に何の影響も、本当は及ぼさないこと。

他人という存在はそんなにも身近な距離にはいないこと。

カメラマン、スタイリスト、インダストリアルデザイナー、グラフィックデザイナーと異なる職業の4名がそれぞれの専門領域を生かし、「架空の商品」を生み出し展示します。