不完全な日常Hikarie Contemporary Art Eye Vol.18 小山登美夫監修

EVENT

日本の美術シーンを新しい視点で切り開く「ヒカリエコンテンポラリーアートアイシリーズ」の第18回目を開催します。 

今回、新しい感覚の彫刻を展示して!というお願いをCON_の加藤さんにしました。大きく変わりつつある社会のなかで、どのように身体と物体を通してリアルな表現があり続けられるのかを確認したいと思っています。(監修、小山登美夫)
 
 
加速する主観の都市における「ちぐはぐな身体」の彫刻

 
都市はひとつではない。
無数の主観、認知、思想によって歪められた世界が、並列しながら重なり合っている。
 
情報と資本の流通が加速し、あらゆる視点が交換可能になった現在、かつて都市を支えていた「大きな物語」は力を弱めた。代わりに現れたのは、互いにずれた輪郭を持つ複数の世界である。
 
そのとき、私たちの身体はどこにあるのか。
 
都市−社会−世界はグローバルな速度で接続され続けている。しかし身体は常に「ここ」にしか存在できない。触覚、重さ、距離といった極めてローカルな感触の中でしか、世界を実感できない。
 
本展《不完全な日常》では、このスケールの不一致を「ちぐはぐな身体」と捉える。
 
板垣竜馬、宇留野圭、大塚諒平の三者は、それぞれの方法でこのズレを彫刻として物質化する。彼らの作品は完成された像ではなく、均衡を取り続ける不安定な構造、落下寸前で静止する力、触れれば崩れそうな緊張として存在する。
 
都市空間に潜在する緊張とは、物理的な構造だけではない。それは無数の主観が交差し、互いに歪み合いながらも統合されない状態そのものである。制度の気配もまた、単一の秩序ではなく、並列する視点が重なりながら生む圧力として現れる。
 
彫刻はその歪みを一時的に可視化する装置となる。
完成された都市は存在しない。存在するのは、常にずれ続ける現在だけである。


アーティスト
 
板垣竜馬
 
2021年に東京芸術大学の美術研究科彫刻専攻を修了。空間、方位、時間、大地、宇宙などの普段から意識せずとも存在する既成概念を現代のパースペクティブから再定義、再解釈する事で現代における消失点を探る制作を行う。天動説から地動説へ宇宙体系が変化した事に焦点を当て、現代の情報社会における信仰などをもとにディバイス内に存在する位置情報を中心とした新たな宇宙体系”新天動説”を提唱し、その”新天動説”を起点とした作品制作を展開する。
Instagram:@ryoma_itagaki
 
宇留野圭
 
1993年岐阜県生まれ。2021年に名古屋芸術大学美術科を卒業、2023年に同大学大学院美術研究科修士課程を修了。
機械部品の鋳造に携わった経験を経て、美術領域での実践を開始。自身を取り巻く生活世界や絵画、舞台芸術などから着想を得ながら、身近な事象を基軸に、機械や舞台装置の構造を取り入れた立体作品やインスタレーションを展開している。
Instagram:@kei_uruno
 
 
大塚諒平
 
1992年東京都生まれ、2022年東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程を終了。
身体をとおした経験や体験に興味がある。最近のテーマは「情報と実感、ちぐはぐな身体」「現実はどこにあるの?」
Instagram:@ryohei.otsuka
 
 
Graphic Design 
 
八木幣二郎
Instagram:@heijiroyagi
 
 
企画
 
CON_
Instagram:@con_tokyo_

2026033102
板垣竜馬《Tem-P》(2024)

2026033103
宇留野圭《11の部屋》(2024)

2026033104
大塚諒《顔》(2021)