『台所道具の選び方、使い方、繕い方』を出版された日野明子さんをお招きし、「台所道具を育てる」魅力についてお聞きするトークイベントを開催します。
日本の地場産業の作り手と私たちのようなショップをつなぐ、“ひとり問屋”として「スタジオ木瓜」を主催する日野明子さん。2025年春、『台所道具の選び方、使い方、繕い方』(グラフィック社)が出版されました。うつわや台所道具など、よいものを使いたい・生活に取り入れてみたいという意識が高まる中で、長く使うための手入れや、素材の特性、歴史などが詳しく、わかりやすく書かれています。
そんな日野さんは「台所道具にはそれぞれの家の顔がある」と言います。ものを使う中で、暮らす場所・環境・使い方が違えば、お手入れ方法や、トラブル内容も変わってくることも。それでも長く使い込み、家の顔にしていくには、使い手がどのようにものと向き合うかが試されます。ものの状況を見て考えてみること、修理ができる職人を知ること、失敗してみること、それでも繕ってみること。そういう一つひとつの積み重ねに、台所道具を使いこむ楽しさや豊かさがあります。
今回のトークでは、多くの台所道具と向き合う日野さんに、暮らしの中で使うからこそ起こるトラブルや日野さんの失敗談もお聞きしながら、「台所道具を育てる」魅力についてお聞きします。
また会期中は、D&DEPARTMENT TOKYOとd47 design travel storeで、著書『台所道具の選び方、使い方、繕い方』の販売と、まな板の修理の受付を行います。修理を担当するのは、信州木曽で良質な「ひのき」「さわら」を素材とする木製品の製造と卸売をする株式会社山一さん。
今回のd SCHOOLやまな板の修理をきっかけに、今ある家の台所道具にすこし手をかけたり、道具とともに積み重ねる時間の豊かさやおもしろさを、みなさんと一緒に学び、考える機会になれば幸いです。うつわや台所道具、暮らしに関心がある方はもちろんのこと、ものや道具を伝えることに日々関わる方も、ぜひご参加ください。
日野明子|スタジオ木瓜
1967年神奈川県生まれ。共立女子大学時、工業デザイナーの秋岡芳夫先生の授業を受け、手仕事の面白さに目覚める。小さな商社に入社し、北欧デザインと日本の食器などの営業を7年。 1999年に独立。その後はひとりで問屋業、展覧会企画、雑誌編集協力、地場産業アドバイザー、大学講師など、『つくる人』『つくる現場』『もの』と『使う現場』の間に立ち、面白そうなことには、いろいろ顔を突っ込んでいる。 著書に「うつわの手帖(1・2)」ラトルズ発行 「台所道具を一生モノにする手入れ術」誠文堂新光社
連載:『住む。』AXIS web magazine