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05/Bunkamura Gallery 8/

Salomé -Passion ~ 考察・現代作家によるサロメの愛と死~

会 期 2023年9月 7日(木) - 2023年9月19日(火)
時 間 11:00 - 20:00
場 所 Bunkamura Gallery 8/
料 金 入場無料

古代イスラエル王・ヘロデの欲望と下心を奪ってはなさない妖艶な美女、サロメ。
ヘロデが欲する、「七つのベールの踊り」を月光に照らされた宴の席上で披露することと引き換えに、サロメは褒美として銀の皿に載せられた預言者ヨカナーンの生首を所望する…
幻想的な怪奇とエロスで知られる世紀末文学の傑作である。

 

「サロメ」は元来、新約聖書の中の一節であったが、19世紀末のヴィクトリア朝時代、オスカー・ワイルドとオーブリー・ビアズリーによってエロスとデカダンスを織り交ぜた解釈で再構築された。当時21歳のビアズリーが手掛けた挿絵を原作者であるワイルドが酷評した理由は、浮世絵の影響によって当時流行したジャポニズム表現と、ワイルドの原作では登場しない人物・場面をビアズリーの独自の解釈・創作で描いてしまったことに起因している。英語・仏語・独語版などヨーロッパ各国で刊行されたが、退廃的な描写の為、国によっては宗教上の理由で挿絵に修正を施して刊行された。このような不協和音にも関わらず、ビアズリーの解釈による「サロメ」はワイルドの原作とは無関係に絶賛され、リヒャルト・シュトラウスのオペラ「七つのベールの踊り」の原典として、また初めて日本語に翻訳したのは森鴎外で、早くも大正2年には島村抱月演出、松井須磨子主演で帝国劇場にて舞台公演が行われた。発表から100年以上経た現在でもオペラや演劇の演出など、表現者たちの好奇心を刺激し、時代によってさまざまな解釈が行われ、芸術的題材として扱われ続けている。

 

本展では「サロメ」の物語に魅了され、その中に秘められた深淵の世界に潜む「エロス・タナトス」「メメント・モリ」「ファム・ファタール」などをテーマに、15名の作家による、ワイルドやビアズリーも驚愕するであろう、独自の解釈で描かれた平面・立体作品を展覧販売する。

 

【出展作家】
浅野信二/愛実/井桁裕子/木村龍/須川まきこ/多賀新/成田朱希/二階健
衣(HATORI)/林美登利/マンタム/三浦悦子/村上仁美/山下昇平/山村俊雄