Hikarie

SHIBUYA WANDERING CRAFT 2017 ECO

8.3 thu - 8.29 tue 11:00-20:00 入場無料

⑩ エコアドベンチャーな活動家たちのトーク

エコアドベンチャー展 トークセッション⑥

8月27日、COURTでラスト・トークセッションが開催されました。登壇者は、「エシカル」という新しい考え方を広めている末吉里花さん、環境省で、環境・経済・社会にも貢献している人たちを「グッドライフアワード」として表彰し、応援している山田哲也さん。そして、「妻というもっとも身近な赤の他人を大切にすると、世界はちょっぴり豊かで平和になるかもしれない」をコンセプトに、一大イベント「キャベチュー」を育てた小菅隆太さんと、今回の「エコアドベンチャー展」の総監修を務めた谷中修吾さんの4名。小菅さんの軽妙なプレゼンをきっかけに、フリートークも盛り上がりました。
末吉 里花 (すえよし・りか)
一般社団法人エシカル協会 代表理事。
TBS系『世界ふしぎ発見!』のミステリーハンターとして世界各地を旅した経験を持つ。司会や、レポーター、モデレーターを経て、フェアトレードやエシカルを中心に活動を展開。著書に『祈る子どもたち』(太田出版)。新刊『はじめてのエシカル』(山川出版社)。
山田 哲也(やまだ・てつや)
環境省 大臣官房 環境計画課 計画官。
環境だけではなく、経済や社会にも良いことに取り組んでいる方を表彰し、応援するための「グッドライフアワード」(2012年開始)に参画。
小菅 隆太(こすげ・りゅうた)
日本愛妻家協会 主任調査員
「社会の課題に、市民の想像力を。」をスローガンに活動するソーシャルデザインプロジェクト「issue+design」メンバー。日本愛妻家協会主任調査員、群馬県嬬恋村観光大使を務める。初代サケビスト。二娘の父。
谷中修吾(やなか・しゅうご)
環境省グッドライフアワードプロデューサー/地方創生イノベータープラットフォーム INSPIRE 代表理事・総合プロデューサー
静岡県出身。東京大学大学院工学系研究科卒。BBT大学 准教授。NPO・NGO経営参謀、公益財団法人松下政経塾、外資戦略コンサルティングファームを経て、地方創生まちづくりプロデューサーとして事業開発を手がける。エコアドベンチャー展 総監修。
最近気になるキーワード「エシカル」とは? キャベツ畑の中心で夫が妻への愛を叫ぶ「キャベチュー」はどうしてこんなに話題になったの? そして、愛妻家はなぜエコにつながるの? そんな疑問を解き明かすトーク。ラストにふさわしく、これまでのトークセッションに登壇された方にもつながるエピソードがたくさん登場しました。
谷中(以下、谷)  “エコ”というと堅い話になりがちなんですが、逆転の発想で、ワクワクする冒険的な生活が、そのままエコにつながったら素敵だよねという考え方でやってきた「エコアドベンチャー展」。その目線で社会を見ると、いま注目の『エシカル』というキーワードは、まさに「エコアドベンチャー展」とつながるものがありますよね。

「エシカル」って何?

「エシカル」という言葉は、イギリスにはじまり、日本では東日本大震災以降に「社会のために貢献したい」という意識が高まった流れで広まったそうです。そのまま直訳すると、「倫理的な」という意味。ちょっとおかたい響きですが、実は日本人が古くから大切にしてきた「お互い様」「おかげ様」「もったいない」といった精神と親和性が高く、外来語でありながら身近な考え方。末吉さんがエシカル協会を立ち上げたのは、2015年。講座、イベント、ファッションショー、映画上映会などを開催し、その考え方やライフスタイルの実践の仕方を学べる場をつくっています。「消費者がエシカルなものを手に入れるようにするには、企業側がそういったものづくりをしていかないとだめですよね」と、末吉さん。同時に企業へも働きかけ、企業と消費者をつなぐような役割を果たしているそうです。

普段買い物するときに、みなさんはどんな基準で買い物をされるでしょうか? 安い方がいいでしょうか? ましてや日々使うものなら、安い方を選んでしまいがちですね。「機能的か、実用的か、デザイン性も含まれると思うんですが、ぜひこの中に、“エシカルな基準”を取り入れてほしいと思います」と、末吉さん。

手にとるもののバックグラウンドを知ることが、第一歩

今、世の中はものであふれていますが、手に取ったものの裏側、つまり誰が、どこで、どのようにつくっているのかがクリアにわかるものが少ないのが現状で、もっとも危険な問題、と末吉さんは続けます。「問題が起きていたとしても、知ることもできないし、解決の方向へ導くことができない。知らない間になにか大きな問題に関わったり、加担してしまっているかもしれないんです」(末吉さん)
ものづくりをする過程で、環境汚染を引き起こしていたり、それが気候変動につながったり。つくってくれる人たちの労働搾取もそのひとつです。なかでも、児童労働は深刻な問題。「今、世界では1億5200万人ものこどもが働かされていて、その割合は、10人に1人(2017年9月に発表されたILO(国際労働機関)の最新のデータより)。15歳以下の子どもたちが、学校にも行けず非常に危険な現場で働かされているという現状があります」と、末吉さん。その現場の多くで、私たち日本人が消費しているカカオ、コーヒー、コットン、洋服の産業、サッカーボールがつくられているそうです。
たとえば、私たちの身近にあるコットン。コットンはたくさん農薬を使わないと育ちにくい農作物で、農薬を使って育てている農家さんたちの毎年2~4万人もの方がその被害で亡くなり、300万人の方たちが健康被害に苦しんでいるそうです。世界の全農作物の耕作面積の約2%がコットン畑。世界の殺虫剤の4分の1の25%が、コットン畑で使われています。オーガニックコットンの利点は、生産者と環境にとって良い取り組みだということ。そのためなかなか高価で手にとってもらいづらく、全生産量のうちまだわずかしかつくれていないそうです。
人間だけではなく多くの動物たちにもその影響は及び、1日約50種の動植物たちが絶滅危惧種になっているそうです。「クロマグロは、実は絶滅危惧種。一番とれていたときに比べてわずか2.6%しか残っていません。にもかかわらずスーパーに並んだり、回転すしでまわってますよね」と、末吉さん。この先乱獲が進んだら、マグロを食べられなくなってしまう日も近いといわれています。「こうした大きな問題をまず知ることが大切。ものとバックグラウンドの間にある厚い壁を取り除く活動が、エシカルの活動の第一歩なんです」(末吉さん)

エシカル消費には、さまざまなスタイルが

倫理とは、法的なしばりはなくても多くの人が正しいと思っている社会的な規範のこと。エシカル消費とは、この考え方をベースにした人、社会、地球環境、地域に思やりのある、配慮されたお金の使い方や生き方を指しています。「毎日誰もが何かを買って生きています。だから、どんな人でも、エシカル消費を身近に感じていただけて、消費行動の中から世界の抱える大きな問題を解決できる力の一端を、ひとりひとりが担うことができるんです。」(末吉さん)
エシカル消費にはたくさんのスタイルがあり、大きく分けて、「環境への配慮」、「社会への配慮」、「地域への配慮」の3つに分類されます。「環境への配慮」は、オーガニックや有機農産物を食卓に取り入れたり、リサイクルやアップサイクルも含まれます。新しい資源を使わずに、お母さんやおばあちゃんから受け継いだ着物やアクセサリーを身に付けることも、そのひとつ。「たとえば、今日私が来ているこのワンピースは、ペットボトル100%リサイクルなんですよ」と、末吉さん。「社会への配慮」の筆頭は、フェアトレード。その他、障がいのある人がつくった商品や、伝統工芸も含まれます。「地域への配慮」は、地産地消や、東北や熊本などで被災された方たちがつくったものを、違う値域の方が買う復興支援商品もその一例です。
*アップサイクル
元の素材よりも、より価値の高いものを生み出すこと。report4でご紹介したKiNaKoさんのアクセサリーは、その好例

目印は、認証ラベルやマーク

エシカル消費をするための目印は、認証ラベルやマーク。国際的なフェアトレードの認証マークやエコラベル、持続可能な漁業に与えられるMSC認証やasc認証、トイレットペーパーやティッシュペーパーについている持続可能な森林認証(FSC認証)などが挙げられます。お菓子や洗剤の原材料になるパームオイルは、環境や人、生き物たちに犠牲を強いている産業が多いので、そこに該当しない持続可能なパームオイルのRSPO認証もあります。
「エシカルの考え方は、おたがいさま、おかげさま、足るを知る、もったいない、「五方良し」。「五方良し」とは、古くからいわれる「三方良し」に付け加えたもので、つくり手よし、売り手よし、買い手よし、世間よし、未来よし。まさに地域社会の原点で、これが信頼の証となって、ここからはじまるものが、共生・共存の持続可能な社会だろうなと思います」
と、末吉さん。今回のイベントでも、マーケットでたくさんのつくり手が参加し、解説しながら自ら販売を手がけていました。お買い物をされた方は、自然とエシカル消費をしていたことになりますね。

谷 農薬の話にはびっくりしました。こうしてリアルな現状をお話しいただくと、エシカルの考え方が腑に落ちますね。エコアドベンチャー展で登場している様々なアイテムも、つくり手さんとの距離感が非常に近くて、日本全国にもそういう取り組みがすごく増えているなって思います。続きまして、環境省で「グッドライフアワード」に取り組まれている山田さんのお話です。「グッドライフ」という言葉にも、エシカルの考え方がつながっていくかと思うのですが、いかがでしょう?

地道な活動だからこそ、しっかり表彰していきたい

山田さんは、環境省で、今年度5年目となる「グッドライフアワード」に取り組んでいる。「グッドライフアワード」とは、地球環境があるからこそ社会が成り立っているという点に着目し、環境だけではなく、経済や社会にも良いことをしている方を応援するための賞。「環境をよくするために、具体的に何をしたらいいのかわからないという方も多いんじゃないかと思います。例えば、ペットボトルのリサイクル、冷房の設定温度を一度でも二度でも上げる。これも重要ですが、これ以外にも、我々が今考えておりますエコソーシャルな取り組みがあります」と、山田さん。
エコソーシャルの好例は、report6のトーク③でお話して下さった栗山菜津子さん。栗山さんは、都会で山菜が食べたいという方たちのために、“山の名人”といわれる地元のおじいちゃん・おばあちゃんが採取した山菜を届ける「森の宅配便」という事業を興し、第二回「グッドライフアワード」環境大臣賞の最優秀賞を受賞。名人が採取するので、山に負荷を与えるような採取をせず、環境にもいい。おじいちゃんおばあちゃんの生きがいにもなり、経済効果も生んでいるという点が、受賞の決め手となりました。「こういった活動はとても地道で、地道だからこそ、我々がしっかり表彰していきたいなと考えていて。実際に、表彰されてから売り上げが上がったそうで、地元新聞や全国放送でも取り上げられているそうです」と、山田さん。

誰もが応募できる賞に

山田さんは、「環境大臣賞」の中に、今回新たに「部門賞」を設立。企業・学校・NPO・任意団体・自治体・地域コミュニティ・個人による取り組みを主体別に表彰します。「実行委員会特別賞」も設け、その実行委員として末吉さんも活動中。「エシカル賞」として、環境だけでなく、人や社会、地域に思いやりのあるエシカルな取り組みを表彰しています。「“子どもと親子のエコ未来賞” もありますので、ぜひ子どもさんのアイディアをご提案いただけたらなと思います」(山田さん)
環境はすごく裾野の広い分野、と山田さん。「社会の役に立ちたいと思って活動しているのであって、別に、環境のために取り組んでいるのではない」という方も、ぜひ発想を転換していただいて。社会にいい取り組みは、実は環境にもいい取り組みがとても多いんですよ。ひょっとしたら自分も環境大臣賞の候補かもしれないと思って、どしどし応募いただけたらと思います」(山田さん)

谷 単に表彰されるというのではなくて、表彰をきっかけに地域の方が見直すといった輪の広がりがあると思います。そこで、実はグッドライフにとっても深い関わりがあるのかもしれない小菅さんの取り組みを、ぜひご紹介していただきたいと思います。

“幸福曲線”を上げていこう!

話題は、実はエコロジーと深い関わりがあるのかもしれない?小菅さんの取り組みに移りました。団体名を言うのにとても緊張するという「日本愛妻家協会」主任調査員・初代サケビストの小菅さん。「今日は、グッドワイフ・・・アワードのお話をさせていただこうかと思います」と、出だしから全開です!
小菅さんは、report2のトークセッション②で登場された筧さん、森川さんが所属する、NPO法人「issue+design」のメンバー。地域、日本、世界が抱える社会課題を、市民の方たちと想像力とともに取り組むなか、小菅さんの気がかりは、世の夫たちの危機的状況でした。
事務局長の山名清隆さんが「日本愛妻家協会」を発足したのは、今から13年ほど前。今やネットで「夫」と検索すると、そのセカンドワードは、「嫌い」、「浮気」、「イライラ」、「ストレス」…とネガティブワードばかり。一方で「嫁」と検索すると、「かわいい」、「浮気」、「大好き」…とポジティブワードがずらり。その差に愕然とし、世の夫たちをどう救うべきか?と、思案。「恋人時代は、お互いモテるために時間をクリエイティブするけれど、夫婦になり、子育ての時代に入ると、忙殺されて、結婚に至るまでに盛り上がったモチベーション、つまり“幸福曲線”が下がるんではないかと」と、小菅さん。もう一度よりよい夫婦時間をつくることで、“幸福曲線”を上げていけるのではないかと考えたそうです。

「妻に恋する村」という響きにヒントを得て

「日本愛妻家協会」の本部がある群馬県・嬬恋村には、ヤマトタケルノミコトが妻の悲報を嘆き「ああ我妻恋し」といったという言い伝えがあります。「妻に恋する村」という響きにヒントを得て生まれたのが、日本愛妻家協会。活動しているメンバーは、男性は愛妻家を調査する「調査員」、女性は、愛妻家かどうかを審議する「審議員」という肩書で名刺を持ち歩くようにしたそうです。
コンセプトは、「妻というもっとも身近な赤の他人を大切にすると、世界はちょっぴり豊かで平和になるかもしれない」。五原則「愛妻家テミル原則」は、1)やってみる(妻が喜ぶ家事ひとつ) 2)出してみる(気づいたときの感謝の言葉)3)聞いてみる(世間話と今日の出来事)4)捨ててみる(ミエ、テレ、タテマエ、世間体)5)なってみる(恋した頃の触れ合う気持ち)。なんて具体的! 「さらに、“愛妻家”という絶滅寸前の希少生物危を探し出し、そのナゾの生態を調査し、保護育成する活動という設定にもしてみました」(小菅さん)

3大アクションから生まれたイベント「キャベチュー」

愛妻家を1人ひとり探すのは時間がかかる!ということで、同協会であぶり出し作戦を実施。
3大アクションは、
1)早く帰宅する夫は愛妻家に違いない:早期帰宅大作戦
2)素直に感情を伝える夫は愛妻家に違いない:キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ
3)ハグがスマートにできる夫は愛妻家に違いない:愛妻の日(1月31日)ハグタイムプロジェクト

Twitterで、「よし、今日は早くみんなで帰宅するぞー!」とつぶやいて、ツイートしてくれる人は愛妻家なんじゃないか?といった仮説実証型アクションや、後に一大イベントとなる「キャベチュー」を実施。地元の人が「畑の真ん中でやられると、キャベツ出荷に差し障りが出るから、叫ぶ台をつくってやれよ」と発案し、白樺の木で叫び台を制作。79歳の妻に愛を叫ぶ80歳のおじいちゃんが現れたり、プロポーズを叫ぶ人が現れて、それに涙する彼女を取り囲む取材班が来たり。「まぁ、キャベツでも食べなよ」とキャベツを差し出す地元農家さんが現れたり。この流れ、report6のトークセッション③で指出さんが紹介されていた山形県・朝日町の「桃色うさひ」の事例を、彷彿をさせるものがありますね。

「そうこうするうちに、日本じゃぜんぜんニュースにならないのに、“あの先進国の中でもっとも奥さんをないがしろにしているといわれる日本人夫が、なんと愛を叫ぶらしい”と、CNN、CBS、ドイツ国営放送、さらにはアルジャジーラまでが特集を組み始めたんです」と、小菅さん。
東京の日比谷公園で妻への愛を叫ぶイベントを実施したところ、時の少子化担当大臣が訪ねてきて「いいね!」と言ってくれたり、総務大臣からも表彰され、後に『New York Post』がウェブで愛を叫ぶ様子を公開したら、なんと95万回も再生されたそうです。「状況が変わって、嬬恋村がだんだん本気になってきまして。県の予算で立派な叫び台と丘ができ、地元の廃材アーティストがオブジェをつくってくれたり、「愛を叫ばれたキャベツは甘くなるのではないか?」と、“有機”野菜と男の“勇気”をかけて、男の勇気が育てたさけばれキャベツ構想が生まれたり」と、小菅さん。さらには、「私たちの地域でも叫びたい」という人たちが集まってきて、茶畑や、東京湾の中心で愛を叫ぶ「I WANT YOU」(愛湾チュー)などのイベントもたくさん出てきたそうです。

積極ブランディングが、地域活性化の一端に

一見ジョークのようで、実はしっかりとしたプランニングをもとに地域に根付いていった「キャベチュー」は、3)のハグタイムプロジェクトへ移行。足跡マークに従って足を置くだけで自動的にハグできるマットをデザインしたところ、玄関マット事業者が実際にプロダクト化。それを全国紙が愛妻の日の1月31日に全面で取り上げ、音楽業界や飲料メーカーも参戦。嬬恋村には、オブジェ化した「強制ハグ装置」も設置したそうです。
「なぜ12年も続いているのかというと、地域や企業との連携によって、みんなが面白がってくれるから、つながったのではないかなと思います」と、小菅さん。愛妻家が集まる聖地として積極ブランディングし、ユニークな地域活性化デザインを打ち出した結果、注目されたのではないかと振り返ります。
小菅さんの次なる構想は、持続可能な新夫婦環境学を考える“メオトロジー”。「CSRもいいんですけれど、どうしたらサスティナブルなものになれるのか、夫婦の社会的責任“メオト・ソーシャル・レスポンシビリティ”を、家でコーヒーでも飲みながら考えてみるのもいいいんじゃないかと思います。いい夫婦が生息する地域を“メオトープ”と呼んで表彰するとか」。これからも、どんどん新しい価値感が生まれそうです。

フリートーク

小菅さんの楽しいお話をきっかけに、フリートークの花が咲きました。ここから先は、トーク形式でどうぞ。

私初めてお目にかかって、小菅さんに初めてした質問は、「本当に愛妻家なんですか?」

自称ができないので、うちの奥さんしかそれはわからないんですね。

取り組まれてもう13年なんですね。長いですよね。

もうやめようかっていうときもありましたが、妻たちが家庭内でおしてくれたんです。それがまたいい感じなんじゃないかと。

お話を伺っていて、楽しくて。エシカルもこんなかたちで展開力をもってやっていけたらなぁと感じました。(エシカルの考え方のひとつに)「自分にとっていい」が、世界にいい。「世界で幸せなことは、自分にも幸せがある」とうことで、自分が幸せじゃないと世界にも影響を与えられない。ベーシックなところをついていらっしゃるなぁ、と。

なんで今日呼ばれたのか、僕もやっとわかってきました(笑)

子供が今5歳なんですけれど、どうしても子供中心になっちゃうんで、夫婦の会話が少なくなりがちだなって、プレゼンを聞いてよくわかりました。子どもが独立して二人になったらどうするんだろう?って思うときがあるんですよ。僕も、1回叫んだほうがいいのかなぁ。

叫んだほうがいいですね。協会が掲げている「身近な赤の他人」と割り切ってしまえば、嫌なことも受け入れられるし、唯一そばにいる赤の他人なんだから、大切にしていかないとなぁって思えるようになりますね。

キャベツ畑が広がっているのを見て、ひょっとしたら環境にもいいのかなって。

お話を伺っていて、まさにグッドライフですよね?

“グッドワイフアワード”、つくりますか? 応募、まだ間に合いますよね?

(笑)こういう活動が広がるってことは、もともと妻を愛したいっていう気持ちを持つ人が多いんでしょうね。

おっしゃる通り。昨今の夫婦のアンハッピーなニュースソースだけ見ると、夫婦はお互いが喧嘩して、忌み嫌っているような存在として伝わっちゃうんですけれど、実は、誰も傷つけ合いたいわけじゃないですよね。でも、それを素直に表現できない。まさに素直になるスイッチを、どう押させるかなんですけれど。

私はエシカル消費を広めていますけれども、広まった結果、またものを捨てるようになったら本末転倒だと思っているんですよ。活動の本当の意味は、消費からシフトして、家族との時間を大切にすることを目指して行きたいなぁと、今、お話を伺っていて思いました。

(キャベチューは)ずいぶんいろんなメディアに取り上げられたんですね。日本愛妻家協会さんの取り組みって(これからの生活に)大切なところをついていて、すごくグローバルだし、今こそ見直すべき視点なのかなって。見ただけでいいなと思えるビジュアルも多くて、いろんな商品が展開されていく様子を伺っていても、みんなが楽しくてやってるんだなぁって思いました。

おっしゃるように、生活が苦しくなったり、何か問題があって、人に優しくできなくなるときもありますよね。毎年ここに来てくれる人が、いいマインドでまたここに来てくれたらいいなぁと思います。「そうか、これが大切だったんだ、俺は」と思い出してもらえる空間が生まれるのが、本当の意味の聖地なのかなぁって思います。

日常の中でつい忘れがちですけれども、だからこそですね。では、最後に一言づつどうぞ。

フェアトレードを13年間やってきた中で、何度も壁にぶちあたって活動の意味を考えてしまうときがあったんです。そんなとき、アウトドアのメーカー「Patagonia」の創設者・イヴォン・シュイナードさんにお目にかかる機会があって。相談したら、「もしあなたが活動をやめてしまったら、あなたは問題の一部になる。活動を続けていけば、解決の一部になる。だから、人は思ったり、言うのではなく、何をするかでその価値が決まる」とおっしゃって下さって。今も、その言葉に背中を押されています。とにかく行動あるのみ。すでに行動を起こしているみなさんもたくさんいらっしゃると思うので、ぜひ、「グッドライフアワード」に応募するという行動につなげて下さい。

環境省的には、「環境にいいことは経済にもいいはずだ」と思っているんですけれど、みなさんには、「経済にいいことは環境にもいいはずだ」と思ってもらえたら。「愛妻家協会」さんの活動も、もしも愛を叫ぶ場所がキャベツのないただの荒れ地だったら、こうはなっていないと思うんです。これもひとつの環境なのかな、と。

ここで聞いていただいたネタを、一つでも二つでも誰かにお話しして下さったら、次のエネルギーになるのかなと思います。ご結婚されている方は、たまにはご夫婦で食事でも楽しんで、コーヒーでも飲みながら、未来についてゆるゆると語らってみてはいかがでしょうか? 五原則は、「捨ててみる、ミエ、テレ、タテマエ、セケンテー」ですので(笑)

<総監修メッセージ>

エコアドベンチャーは、文字通り、Eco + Adventure の造語です。そのコンセプトは、「冒険的ライフスタイルが、エコを加速させる」。いろいろなエコの形がある中で、“ワクワクしながらエコを実現する”というアプローチに注目しました。エコをしよう!という出発点を、冒険しよう!に変えてみる。毎日の生活をワクワクの大冒険にすることで、結果としてエコが実現される… そんなライフスタイルを集めた夏の祭典として、エコアドベンチャー展をつくりました。約1ヶ月にも及ぶ本企画を実現するプロセスそのものが大冒険の連続で、毎日が手づくりの文化祭。日々、コンテンツも変わるし、レイアウトも変わる。登場人物は、尖った人生の冒険家ばかり。エコ的に予算はないけど、アイデアと情熱と愉快な仲間たちは無尽蔵にある。みんなでワクワクを持ち寄ることで、最高の祭典を実現することができました。エコアドベンチャーは、新しい未来をつくるマスターキー!なのかもしれません。

エコアドベンチャー展 総監修
谷中 修吾
(地方創生イノベータープラットフォーム INSPIRE 代表理事/BBT大学・BBT大学大学院MBA 准教授/環境省グッドライフアワード プロデューサー)
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